事例紹介

ガラス転移温度評価

  分子動力学エンジン「COGNAC」を用いることで、ポリマーのガラス転移温度Tgを評価することができます。具体的には、系を高温に設定した状態から温度を一定間隔で下げていき(クエンチ)、系の体積変化を評価していきます。結果的に、体積変化の屈曲点が現れれば、その温度がガラス転移点温度となります。

  アモルファス状態のポリマーのデータを用いて、ガラス転移点温度を評価しました。図2はアモルファス状態のポリエチレンにおける、系の比体積の温度変化の様子を示します。体積変化の様子が明確に変わる温度を有しており、これをガラス転移点として評価しました。

バルク状態のポリカーボネート
図1 バルク状態のポリカーボネート
図2  ポリエチレンにおける系の比体積の温度変化
図2 ポリエチレンにおける系の比体積の温度変化
  様々な物質についてガラス転移温度を求めました。各物質とも、それぞれの結果をグラフにしてみると、物質ごとの傾向は捉えられていることがわかります。Tgの値が実験値と比べて大きめに評価されているのは、MD計算におけるクエンチの速度が非常に速いことと、あとは計算精度的な限界であると考えられますが、定性的な評価には十分に用いることが可能であると考えられます。
図3 各物質ごとのガラス転移温度
図3 各ポリマーのガラス転移温度
物質
Tg(計算)[℃]
Tg(実験)[℃]
密度(計算)[g/cm3]
密度(実験)[1][g/cm3]
ポリエチレン
48.64
-50.0
1.11
0.9
ポリエチレンテレフタラート
169.41
75.0
1.28
1.38
ポリスチレン
183.03
100.0
1.06
1.00
ポリカーボネート
215.06
144.0
1.12
1.20
 
●参考文献
[1] Polyinfoデータベースより抜粋




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