事例紹介

MDによる溶解度パラメータの評価

  水、オクタン、ベンゼン、エタノール、メタノールの溶解度パラメータ(SP値、δ)を全原子モデルのMD計算により評価しました。 水はSPC-FWモデルを使用し、その他の分子はJ-OCTAでのモデリングを行いました(力場はGAFFを用い、電荷はMO計算により求めた値を付与しました)。粒子数が700個程度となるように系内の分子数を決定し、それぞれの分子で単一組成の系を作成しました。境界条件は周期境界とし、MD計算には弊社ソルバーである「VSOP」を使用しました。

  NPTアンサンブルによる300KのMD計算を実施して緩和状態とし、さらに計算を実施して溶解度パラメータ算出用の時系列データを取得しました。溶解度パラメータ(SP値)の算出にはJ-OCTAのDPDモデラの機能を用いました。この手法は擬真空中の孤立鎖のポテンシャルエネルギーとバルク状態のポテンシャルエネルギーの差から凝集エネルギーを求め、以下の式により溶解度パラメータを算出するものです。


溶解度パラメータの計算式
溶解度パラメータ
図1 MDによる溶解度パラメータの推算値と実験値の比較

表1 密度および溶解度パラメータ MDによる推算値と実験値
 
ρMD [g/cm^3]
δMD[(J/cm^3)^(1/2)]
ρexp [g/cm^3]
δexp[1,2] [(J/cm^3)^(1/2)]
water
1.01
52.6
1.00
47.9
octane
0.69
16.0
0.70
15.6
benzene
0.85
17.4
0.88
18.6
methanol
0.83
35.0
0.79
29.7
ethanol
0.82
30.1
0.79
26.2
 
●参考文献
[1] A.Maiti and S. McGrother, J. Chem. Phys., 120, 3, 15 (2004)
[2] Allan F. M. Barton The CRC Handbook of Solubility Parameters and Other Cohesion Parameters, Second Edition CRC Press, (1991)




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