ガラス転移温度評価
分子動力学エンジン「COGNAC」を用いることで、ポリマーのガラス転移温度Tgを評価することができます。具体的には、系を高温に設定した状態から温度を一定間隔で下げていき(クエンチ)、系の体積変化を評価していきます。結果的に、体積変化の屈曲点が現れれば、その温度がガラス転移点温度となります。
アモルファス状態のポリマーのデータを用いて、ガラス転移点温度を評価しました。図2はアモルファス状態のポリエチレンにおける、系の比体積の温度変化の様子を示します。体積変化の様子が明確に変わる温度を有しており、これをガラス転移点として評価しました。
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図1 バルク状態のポリカーボネート | |||||||||||||||||||||||||
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図2 ポリエチレンにおける系の比体積の温度変化 | |||||||||||||||||||||||||
様々な物質についてガラス転移温度を求めました。各物質とも、それぞれの結果をグラフにしてみると、物質ごとの傾向は捉えられていることがわかります。Tgの値が実験値と比べて大きめに評価されているのは、MD計算におけるクエンチの速度が非常に速いことと、あとは計算精度的な限界であると考えられますが、定性的な評価には十分に用いることが可能であると考えられます。 | |||||||||||||||||||||||||
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●参考文献 [1] Polyinfoデータベースより抜粋 |